速く走ること ゆっくり走ること
ジョグトリップ参加資格に「ゆっくり走れる方」と謳っていますが、これは人間の本能に反することじゃないかと実は思っています。
人間はいうまでもなく動物の一種。猿人→原人→新人(ホモ・サピエンス)と進化してきた。その過程で、生存していく過程で、具体的に言えば食料を得る過程で、戦いは避けられない。他の肉食動物との戦いもあれば人間同士の戦いもある。
そして、その戦いを勝ち抜いた種だけが生き残ってきた。この強烈な種の体験が現代人に影響していないわけはない。
過去や周りや自分を振り返ってみてください。思い当たることがたくさんあるはずです。
日々戦い。
いつも他人と比較して勝ち負けにこだわる。身内とよそ者を区別して身内には甘くよそ者には厳しく当たるのも、集団として生き抜いていくための方策。
人よりも上位に立ちたいという衝動は本能だし、そこを認めておいたほうがいい。自分の中でも、家族でも、他人でも。そうすることによって、少し楽になります。
そして、速く走ることについて。
獲物のある場所に早く到達するため、襲ってくる獣から早く逃げるため、そのためにも速く走ることは必要だった。
速く走ろうとするのは本能なので、止められない。だからマラソンでも、タイムを競い、順位を競う。
でも、もうそろそろ気づいてもいい頃です。戦い競争する必要は、少なくとも今のところ、ないと。
非常に恵まれている環境に私達は生きています。恵まれている時代、恵まれている地域、恵まれている国。ものすごくラッキー。文字通り「有り難い」。
この恵まれている環境を享受してみよう、というのが、実はジョグトリ精神の根っこにあります。
「ゆっくり走っていいんですよ」「のんびり景色を楽しんでいいんですよ」
でも、なかなか本能が許してくれない。ついつい速く走ろうとする。ついつい人を追い抜こうとする。
なので、速い方の制限時間を設定し、ゆるくゆるくゆっくりゆっくり走ってもらう努力をしています。私の役割は、ついつい速く走ろうとする皆さんを後ろから綱で引っ張ること、なんです。
「ベストジョグトリッパー賞」、制限時間の中で一番遅くゴールされた方に送られる称号。この賞は、綱引きの最後尾にいる重い人の役割を果たしています。安心してゆっくり走るための重石なんです。一番えらいひと。
あれやこれや、意外と工夫してるんですよ。おわり。